パトカーに追跡された車が運転を誤って電柱などの道路上の構築物に激突するような事例は数多くあります。それが道路上の構築物にとどまらず民家や商店に飛び込んだら大変です。建物だけではなく人身への被害も出てきます。
パトカーが追跡する行為は正当な職務執行ですから警察署は激突した車が起こした損害に責任を負いません。責任は激突した車を運転していた者が加害者として責任を負うのは当然です。しかし加害者に資力がないなどのために責任を負えなければどうなるのでしょうか。
犯罪被害者等給付金の考えかた
犯罪行為により不慮の死を遂げた者の遺族や重傷を負ったり障害が残った被害者には犯罪被害者等給付金が支給されます。しかし、住宅や商店などを壊された被害者はこの給付金の対象にはなっていません。
犯罪被害者等基本法の考えかた
このような被害者は泣き寝入りしなければならないのでしょうか。犯罪被害者等基本法が2004年に制定されました。基本法12条によれば、
1 国や地方公共団体は犯罪被害者等の行う損害賠償の請求についての援助
2 損害賠償の請求について刑事手続きとの連携する制度の拡充
について必要な施策を講ずるものとするとされています。しかし、残念ながら問題の事例を解決するようなことにはなっていないようです。
基本法による相談・紹介
ただし、基本法11条では、国や地方公共団体は犯罪被害者等が当面している問題について相談に応じ、必要な情報の提供や助言を行い、犯罪被害者等の援助に精通している者を紹介することになっているはずです。
したがって、この事例のパトカーの所属する警察署は被害者の相談に乗るべきなのではないでしょうか。そのうえで加害者に資力がないなどのために責任を負えなければ加害者の親族に責任を負ってもらえないかどうかなどのアドバイスくらいはしてもいいのではないでしょうか。
「法テラス」に相談したら
警察署の手に負えなければ、公的な司法支援センターの「法テラス」を紹介することもできるはずです。
いずれにしても、パトカーによる追跡行為は警察官の正当な職務行為だから被害者の問題には関知しないというというのではなく、適切な対応をしてもらう余地があります。