衆議院予算分科会で質問
第55号 (H18/3/3)

 2月28日と3月1日にライブドア事件に関連する制裁問題、貸し金業者のグレイゾーン利息問題、保険業法改正に伴う根拠法のない共済事業の取り扱い、地方財政の三位一体改革などについて衆議院予算分科会で質問しました。

(ライブドア事件に関連する制裁問題)

 ライブドア・グループは子会社の利益を親会社に付け替えるという粉飾決算をしたり、風説を流布したりして自己株式を高値で売って莫大な利益をあげて事業を拡大してきたとの疑いにより刑事告発がされていると報道されている。

 これが事実であれば証券取引法違反として刑事制裁が科される。滝 実は「犯罪行為により得た財産は没収する」と定めている証券取引法198条の2の条文を予算分科会で問題にした。この条文は、風説を流布して株価をつりあげておいて株を高値で売り抜ける者に対して、儲けた利益だけではなく売却収入全体を没収するという原則を定めている。元本が没収されずに手元に残れば痛くも痒くもなく犯罪行為を防げないからだ。泥棒が家屋侵入するのに使ったドライバーなどがあれば、同じものを再び犯罪に使われないように没収するのと同じ理屈にしているのだ。

 ところが刑事裁判の実際では、売却収入全体ではなく、儲けた利益に相当する部分しか没収していない。せっかく没収の範囲を広げる条文にしているのに趣旨が裁判官に伝わっていない。ということは、もう少し厳密に表現しておく必要があるのではないかということを指摘したわけだ。これに対して金融庁は再発防止を強化するように法案化を急ぎたいと答弁した。

(貸し金業者のグレーゾーン利息問題)

 利息制限法により利息は最高で15から20%に定められている。他方、刑事罰の対象となるのは出資法で29,2%を超える利息としているので、利息制限法の利息を超え、出資法の制限利息までのグレーゾーンをそのままにしておくと争いの種になる。そのため昭和58年に貸し金業法を作り、借り手の自由意志でグレーゾーンの利息を承諾した場合には契約を有効とすることにし、しかもその要件として約定書を借り手に発行すること、返済したら領収書を発行することなども法律で規定した。

 しかし最近の最高裁判決では、法律上の要件の上に司法判断でさらに要件を付け加える

ようになった。金融庁はこの事態をみてグレーゾーン利息を無効とするような動きをしているとの報道があるので、そうではなく最高裁判決のいうようにグレーゾーン利息を認める要件を細かく条文化すべきではないかと指摘した。

(根拠法のない共済の取り扱い)

 オレンジ共済というでたらめな共済が社会問題化したこともあって、保険業法の改正により根拠法のない共済を原則として認めないようになる。医師や歯科医師を対象としているもの、障害者を対象としているものが問題となっているので、実情を把握して対応するよう要望した。

(預金金利の引き上げ)

 金融緩和をめぐり、日銀は解消したいといい、政府はまだ早いという綱引きが行われてきた。最近になって政府も日銀の判断を了解するものの金利の引き上げをしないようにとの申し入れをするとの報道がある。これを国民からみると全く理解できない。

 低金利政策がとられて10年になり、働き盛りの中高年は老後の見通しの立たない状況だ。それを見越して外貨建て預金や外国証券を取り入れた投資フアウンドの売り込みが盛んになっている。これを放置すれば国内向けの投資資金が減り、日本経済の首を絞めるようになる。貯蓄率の高かった日本も既に貯蓄率が急減している。

 そこで与謝野経済金融大臣に金利の正常化に取り組んでもらいたいと要望した。これに対して金利の引き上げは消費拡大を促す重要課題と認識しており全力を尽くしたいとの答弁があった。

(三位一体の地方財政改革)

 国の長期債務残高は542兆円、地方のそれは204兆円という総額の数字で国の財政破綻は大変だが、地方はそれほどでもないという財務省の宣伝に総務省は同情しているのではないか。国債の返済年限は30年で計算しているのに、地方債は10年だ。それで見通すと国債の返済は毎年18兆円、地方債は20兆円で、毎年の返済の重みは同じであり、地方の財政再建の財源を確保すべきことを指摘した。

 18年度の国の予算では地方の一般財源を昨年並みとして編成されているが、中規模以下の県は昨年を下回り、 長野県 で70億円、 奈良県 で30億円ほど減っている。一般財源は東京、愛知、大阪に集中しているのであって、地方財政対策で一般財源昨年並みといっても大半の地方団体では大きく下回っている。とくに交付税の切り込みは3兆円くらいになる。今回はどうしようもないが、今後の財源確保に配慮する必要を指摘した。

(義務教育費国庫負担金問題)

 三位一体の改革の焦点である義務教育費の国庫負担率を 1/ 2から1 /3 に引き下げることについて、2月28日の衆議院本会議で、小坂文科相はこれで確定といい、竹中総務相は今後も引き続き検討していくと答弁した。この違いについて竹中総務相に念を押したところ、三位一体の観点から今後も継続して検討すべきと考えているとのことであった。

 三位一体の財政改革は地方の自立性を拡大させる目的を掲げているのに、国の関与を残したまま国庫負担率を引き下げて負担を地方に押し付ける結果になっていることは許しがたい問題だ。

(耐震強度偽装事件に対する公的支援問題)

 耐震強度偽装事件の被害者救済は民事の瑕疵担保責任の問題だ。したがって、建築主の責任を棚上げして公的支援をするならば、阪神淡路大震災にまで遡って支援する覚悟が必要であるし、地方団体はその他の多くの事例に対応しなければならなくなる。総務省は関係省として協議を受けるに際し十分に検討すべきことを指摘した。

18年度予算に反対

 3月2日、衆議院本会議での18年度予算の採決にあたり新党日本を含め新党グループは反対した。それは次のような理由による。

? 財政再建のための増税が目白押しであるが特別会計の整理もすすんでいないのに増税が先行するのはおかしい。新年度の財政融資特別会計から国債整理特別会計への繰り入れが 27 兆円も増額されているように、融資した資金を各年度でどれだけ返済させるかの計画を明らかにされていない。

? それなのに長期国債の償還が大変だという声だけが一人歩きしている。しかも長期債務の普通国債が 542 兆円あるというが、償還期間を 30 年とすれば粗い数字だが毎年の償還は 18 兆円だ。財政融資以外の特別会計が保有する資産もある。これらをどのように活用していくのか、各年度の償還計画とどう組み合わせていくのかが不透明な段階で増税に踏み切るのは問題だ。

? 本来、定率減税を廃止してもいいのではないかというのは国民年金への国の負担率を引き上げる財源にするならばという状況の中で出てきたはずだ。それがいつの間にかうやむやのうちに廃止が一人歩きしてしまった。したがって、国民年金の負担率引き上げには改めて増税を検討するようになるのは目に見えている。とうてい賛成しがたい。

? 新年度予算ではたばこ税も増税になるし、年金課税の強化も実施され、高齢者医療負担も増える。その一方で国の予算も地方の予算も圧縮されており、国をあげて再びデフレに向かっているのは大問題だ。

? 三位一体の財政改革に名を借りた地方切捨てが目立つ。地方の一般財源を昨年並みとしているが、大半の団体は昨年を大きく下回る状況のようだ。特に地方交付税の落ち込みが激しいようだ。国の財政再建の犠牲に地方が苦しむような姿勢を認めてはいけない。


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