安倍首相の所信表明演説への7つの疑問
第66号 (H18/9/30)

 安倍首相は 9 月 29 日に所信表明を行い、週明けの 10 月 2 日から、首相に対する各党の代表質問が始まる。それに先立ち、疑問に思うことの概要を列挙してみた。

1 基本姿勢で官邸機能の抜本的強化を表明しているが官房長官時代の姿勢から見ると隠密政治を宣言しているに等しく、首相でありながら省庁という組織を使いこなせないことを表明していることになる。危険であるうえ、官庁組織のうえに屋上屋を重ねるもので、無駄なことだ。

2 経済社会の構築のためイノベーションの力とオープンな姿勢で経済成長を図るという。人口が減少してもイノベーションで経済成長が可能なことは経済学の教科書に書いてある。問題はどの程度の資本投入が出来るのか、それによりどの程度の成長が見込めるのかということであって、国民に訴えるには、その見通しを示すべきだ。

 オープンな姿勢で経済成長というが、ライブドアや村上ファンドの出現を助けるだけであり、また、外資が日本で収益をむさぼるのを助けるだけではないかなどの疑問にがある。

3 財政再建を取り上げ、「成長なくして財政再建なし」と言っていることには安心した。しかし、その成長はイノベーション、オープン、再チャレンジというだけで裏づけに基づく訴えがなく、言葉だけに終わっている。

 地方分権も位置づけを明らかにしないままに地方交付税で「頑張る地方応援プログラム」をスタートさせるという。こういうことを国政の重要政策に考えることは分権ではない。

4 少子化対策として言葉は「子育てフレンドリーな社会」の構築と言う表現に改めているが内容が不明だ。子育ての経費を社会全体が負担をするのか、するとすればどの程度すうのかを国民に訴えることが首相就任の所信表明には必要だ。

5 教育改革は教育基本法の改正から始めようというのは方向が違うのではないか。基本法の改正によって、国民の望むような教育がどの程度実現するのか全く不明だ。 学級崩壊、学力低下、受験戦争などの教育の課題に応えられるのかが疑問ではないか。

6 集団的自衛権の行使が安全保障の前面に出ているのに、なぜこの検討が必要なのか国民に訴えることから始めるべきだ。
集団自衛権は現行憲法でも許されているが憲法の運用上禁止していると解釈されている。このような重大なことがこのように内閣の解釈に任されるならば、憲法の改正は何なのかについて国民の合意なしに国民投票を成立させることは問題ではないのか。

7 安倍首相の所信で重要なことが抜けている。それは、個人の所得の格差はもとより、地域の衰退がその住民の所得の激減になるのみならず、医療や介護のサービスを受けられないことにつながっており、こういう情勢を放置できない。特に医療・介護の過疎と呼ばれている事情は国の政策により加速されている。これを所信表明にあるような外国企業の誘致などの「頑張る地方応援プログラム」で解決できるものではない。こういう他人まかせのことで、どうして日本の伝統を守り美しい国が望めるのか疑問だ。


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