この教育基本法改正法では 国民の願う教育は望めない
第69号 (H18/12/15)

 教育を変えなければということに国民の多くに異論はないようだ。だからといって政府提案の教育基本法の改正案に賛成というわけにはいかない。学校の中の問題を列挙しただけでも、校内暴力、学力低下、いじめなど深刻な問題が未解決のままだ。そこで新党日本は参議院議員の荒井広幸から内閣に対して質問主意書を提出し答弁を求めた。内容によっては法案に賛成することが出来るかもしれないという前提である。しかし基本の考えかたは満足できるものではなかった。

 第一点は高校世界史の履修漏れ問題に明らかなように、受験第一主義、点数主義がはびこっている。子どもに自信と希望を与えるよう、多様な評価の視点を教育の基本に据え、明示すべきであるとの見地に立って答弁を求めた。これに対して、そういうことを教育基本法には直接規定していないと答弁するだけ。これは教育の評価を変えることが現在の教育問題を解決する基本との認識が全くないことを示すものだ。

 第二点は多くの子どもが私立中高一貫校に進学する地域がある一方、多くの家庭が就学援助を受けている地域があるなど、所得や地域により受けられる教育の内容に大幅な格差を生じている。そこで実質的に公平な教育を実現するための見解を求めた。これに対して、国及び地方公共団体が、その実施に責任を負うことを規定していることを紹介するだけで、問題意識がないことを明らかにした。

政府はこの程度の問題意識でしか教育基本法改正に取り組んでいないのであって、自民党文教族の昔からの念願である愛国心を植えつけることと能力のない教師に辞めてもらうことの根拠を定めるに過ぎないといわざるをえない。

新人教師を指導してきたヴェテラン教師からは学校を卒業して直ぐに教師になるには現在の教育実習の時間では余りにも短いとの指摘がある。また、塾へ通わなければ希望する学校に入学できないのが実態で、これでは子どもは学校へ行っても勉強に熱中できないし、先生を尊敬することはない。子どもにとっては塾のほうが重要だから当然だ。だから塾へ通わなくても済む教育体系を確立すべきなのであって、これもヴェテラン教師の指摘だ。

教員養成大学の教育学専門家の指摘を掲げておく。それは教員養成大学の教官の姿勢に問題があることだ。教員養成大学でも理科とか数学とか専門の教科がある。ところがこの専門教科の教官の中には子どもを指導する教師を養成するという姿勢に欠ける者が多いということだ。これでは何のための教員養成大学か分からない。

教育基本法は教育に政治を持ち込むことなく、広く国民の合意のもとに実施されなければならないという理念を掲げた法律である。それなのに法案審議の過程で党派を超えて傾聴すべき意見を取り入れる努力をせず、タウンミーティングのやらせ問題に審議時間の相当部分を費やして十分審議したかの体裁をとって審議を打ち切った。新党日本は、このような法案に賛成することはできないというのが結論だ。


滝まこと事務所  〒639-1017 大和郡山市藤原町2-12 TEL 0743-55-7888 FAX 0743-55-7081 makoto-t@m4.kcn.ne.jp