行方不明の年金
第74号 (H19/6/6)

 行方不明の年金が5000万件もあることが発覚したのは今年の2月。5000万件もの年金が行方不明になったこと自体とんでもないことであるが、これが分かったことに対して政府自民党が重大性の意識がなかったことは重大な問題だ。しかも、こういう事態について政府は謝罪するどころか、責任は加入者にあるという姿勢をとり続けてきた。

 政府自民党があわて出したのは安倍内閣の支持率が下がり出したからだ。要するに、国民一人ひとりに目が向いていないことをさらけ出してしまったと言っていい。したがって、その後の政府自民党の対応は自分たちの保身そのものだ。だから政府自民党の対応は、何でもいいから法律を作って事態を鎮静化することと、民主党を誹謗中傷することにあったとしか理解できないものであった。

 その法律とは、年金受給者が5年間支払いを請求しないときは受給権が消滅するという現行の時効制度を適用しないという以外に見るべき内容のないもの。そのうえ相変わらず申請主義という原則を残しているので、既に亡くなっている方や気付いていない方の救済ができないことになる。今回の事態を招いた責任は国にあるのであるから、受給資格者に支払われるべきことが判明すれば、国の責任で支払うべきことは当然であろう。

 6月4日になっていよいよ深刻な事態になったことに気付いた政府は、初めて柳沢厚生労働大臣が国民にお詫びの記者会見をした。野党の質問を無視し続けてきた政府が今頃になって言葉だけのお詫びの記者会見というのは、信頼される政府の取るべき態度ではない。

 民主党を誹謗中傷している例を見てみよう。それは、自民党が参議院選挙用のビラで今回の事態を招いたのは当時の厚生大臣であった管直人さんであると宣伝していることだ。問題なのは、5000万件もの行方不明の年金があることが明らかになったのに、それを無視し続けた政府自民党の姿勢なのに。仮に今回の事態を招いた犯人探しの結果、管直人さんに責任があるということであれば、それは自民党を主体とする橋本内閣の責任であり、年金番号を統一することとした以降の全ての厚生大臣に責任がある。なかでも一番責任があるのは、統一番号に踏み切った直後の小泉純一郎厚生大臣であろう。

 今、政治が果たさなければならないのは、行方不明の5000万件を本来の権利者に結びつける基準を明らかにすることだ。そのために政府は第三者機関を設置するという。当然ではあるが、その機関に丸投げするだけでは解決しない。どういう事実があれば権利が復元するのかを法律で明示する必要があるのだ。確定できないケースが多いであろう。その場合は、年金会計と一般会計が折半で負担するようなルールが必要かもしれない。そのためにはこの事態を招いた原因の究明を先行させなければならない。いずれにしても当時の担当者から徹底して事情を聴きとり、原因を明らかにしたうえで対応策を国会で決めることだ。これまでの経緯を見れば、政府に公正な問題解決能力がないのだから、国会が全面に出なければならないではないか。


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