行方不明年金と参議院選挙
第75号 (H19/7/11)

 参議院選挙での劣勢を挽回するために政府は矢継ぎ早に対策を打ち出している。それはそれで評価するが、本当に大丈夫なのかという疑問は拭いきれない。年金加入者の正確な記録を確定することは大賛成であるが、元はと言えば3億件に及ぶ記録を平成9年から10年間で2.5億件だけ基礎年金番号の整理をし終えたところで、残ったのが5000万件ということだ。

 これをもう一度やり直すというわけだから、その作業を完了するには1年でできるわけがない。最後は刑事さんが足で捜査するようなことをしなければならないはずであるが、政府にはそのような覚悟があるようには見えない。この記録確認を成し遂げるには膨大な事務費を覚悟する必要がある。それまでして事務費を掛けるとすれば、加入者に対して公的年金が本当に元が取れるのかどうか検証し示さなければならない問題なのだ。

 今回の行方不明年金の問題が引き起こしている深刻な問題がある。それはこの事件によって若い人が年金に加入しなくなるのではということだ。国民年金を開始したときのうたい文句は、「月々150円の掛け金で、月々3500円の年金」ということだった。これを掛け金の23倍貰える年金と宣伝されていた。現在、これがどうなっているかと言うと、「月々14100円の掛け金で、66000円の年金」になり、掛け金の6倍しか貰えない年金になっている。しかも計算が細かくなって、生涯掛ける掛け金総額に対して平均的寿命生きたとして貰える年金総額は1.7倍にしかならないことが示されている。

 そこで加入者が加入を避けることになれば、掛け金収入が落ち込み、3年前に改定した「100年安心の年金」のシステムによって貰える年金額がそれに応じて減少する仕組みになっている。そこで、現在は1.7倍になって戻ってくるという期待のある国民年金であるが、その魅力が国民年金創設時より、さらに小さくなるという大問題が発生する。

 こういう事態に対して、政府与党は危機感をもたずに、当面の記録確認に追われているのではないだろうか。しかし、年金そのものの危機だと思う。すでに民主党は早くから国民年金の掛け金制度を改めて、全額を消費税でまかなうことを提案している。これについて自民党は批判しているおり、それなりに問題があるが、この際そういうことを含めて議論すべきだと思う。今回の行方不明年金の問題はそのくらい重大なのだ。


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