8月8日、シーファー米国駐日大使が民主党の小沢代表に直談判して10月末に期限が切れるテロ特措法の期限延長に理解を求めた。シーファー大使の論法は米国のアフガニスタン攻撃は国連決議に基づくものであるから、日本は米国と歩調を合わせてアフガニスタンへの自衛隊派遣を継続すべきだというものである。
これに対して小沢代表は、民主党は初めからテロ特措法に反対であり、参議院で第一党になったからといって賛成に転換するわけにはいかないという。なぜ反対かというと米国のアフガニスタン攻撃は国連決議に基づくものではなく、米国が自衛権の発動としてアフガニスタン攻撃に踏み切ったものだからだ。この事情は日本政府も認めてきたはずだ。
シーファー大使は米国の行動は、国連決議1368号を根拠にしていると言い、小沢代表はそれは根拠にならないと言う。どちらの言い分が通るかと言うとシーファー大使の論法は明らかに無理だ。それを堂々と根拠にしようとするのは随分いいかげんな話だ。
もともと日本政府は国連決議1368号を根拠に日本が米国の行動を支援するのは難しいので、具体的な国連の決議が必要と言ってきたはずなのだ。国連決議1368号は、あの9月11日の翌日に緊急に採択されたテロ行為を許さないという決議であって、アフガニスタンやイラクへの攻撃を認めたものではない。米国はあくまでも米国の自衛のためにアフガニスタンを攻撃したということであった。そこでNATO各国は条約により集団的自衛権に基づき米国に協調して軍隊を派遣したのに、日本は集団的自衛権を発動することは憲法上認められないので、国連の集団安全保障の一環として協力するという位置づけをして海上自衛隊を派遣したのである。
このような経緯を踏まえれば、今回突如としてシーファー大使が国連決議1368号を持ち出して、小沢代表に態度の変更を求めるのは日本政府の見解や国会での論議を無視することなのだ。
テロ特措法のもう一つの問題は自衛隊に対するシビリアンコントロールを回避してきたことだ。自衛隊の派遣に対する国会の承認も事後でいいとか、インド洋に派遣した海上自衛隊が何をしているのかという実態を明らかにしようとしてこなかったとかの重大な問題である。この点は今回改めて議論することの意義はあろう。しかし、もっと重大なことは、具体的な国連決議のないままに、国連の集団安全保障に根拠を置くということは自衛隊の海外派遣が集団的自衛権そのものの発動と変わりないことになることだ。これを憲法改正なしに進めてきたことについて改めて見直す機会として考えるべきであろう。 |