道路特定財源である揮発油税や軽油引き取り税の税率は1974年以来税法の本則税率の上に暫定税率として税率が上乗せされ、1993年に現在の税率になった。それは1986年に日米経済摩擦解消のための前川リポートによって今後10年間で430兆円(後に480兆円に改定)の公共投資を上乗せすることになり、1993年から始まる道路整備5か年計画はその前の5か年計画の1.5倍になる76兆円という大きなものになったからだ。
ところが、現在の暫定税率は今年の3月末で期限切れになるので、政府は通常国会に引き続き10年間の期限延長法案を提出しようとしており、これが政治問題化している。その背景は道路特定財源を一般財源化しようとしてきた政府のこれまでの経緯を見れば良く分かる。
現在、財政再建のためにあらゆる分野で歳出を見直そうとしているのに、道路事業に財源を先取りする余裕がない。そこで、政府部内では道路特定財源を一般財源化しようという動きがあった。これには1990年代のような巨額の道路投資を続ける時代ではないということも影響している。
昨年11月に政府が示した道路整備の中期計画でも10年間の道路事業は59兆円で、1年間の事業量は1993年からの道路整備5か年計画の3分の1の規模になっている。ということは、道路整備費が3分の1になっているのに税率が従来通りでは自動車の利用者にとっての負担は3倍になることを意味している。
もちろん道路整備が重要であることに異論はない。しかし、これまでの道路事業は特定の地域が際立って良くなるという地域間の偏在が目立っており、新潟の角栄道路、島根の青木道路、山口の安倍街道、茨城の額賀高速道路などと噂されているのが実態だ。今回もすでに東京周辺の道路整備について福田首相と東京都知事の間で合意されたと報道されている。全体の道路財源の確保も大切であろうが、地域間の配分はもっと大切だ。
何より重要なことは、財政再建の名のもとに、医療、介護など国民の命にかかわる分野が崩壊しているのに、道路だけに10年間の財源を保障するというのは異常であろう。現在の実態を考えれば、一遍立ち止まって道路財源を考えるべきではないだろうか。 |