道路特定財源の暫定税率存続に反対する理由
第81号 (H20/2/29)

 80号で道路特定財源を取り上げたが、再び奈良県の事情を念頭にいれて解説したい。奈良県は道路が悪いというのは奈良県内では常識とも言える。滝まことが奈良県の副知事に就任したのは1981年4月で、上田繁潔知事誕生の半年後のことだ。真っ先に手掛けたのは21世紀委員会を設置して道路と鉄道の整備の進め方について衆知を結集することであった。そのくらい他県に比較して道路事情が良くなかったからだ。

 なぜ奈良県の道路整備が遅れたかと言えば1960年代後半からの所得倍増計画の波に乗って全国各県の道路事業が拡大している時代でも、奈良県ではそれを受け入れるだけの財政的余裕がなかったということであり、地形が険しいうえに広大な面積の吉野地方の幹線道路の整備に手間取ったということでもあった。

 現在はようやく奈良県内に国による道路事業が目立つようになった。これは他県の道路整備が峠を越えたから財源が奈良県へも回ってきたとみることができるかもしれない。しかし、相変わらず奈良県の道路整備には県の事業が目立つし、県の事業費に占める道路特定財源の比率が低い状況は昔から改善されていない。

 このため、滝まことは国土交通省の道路局に対して国中心の道路特定財源を地方に重点を置いた制度に改めるよう求め続けてきた。今、奈良県として主張すべきことは、奈良県のように今まで取り残されてきた県に対して事業量に対応する道路財源を確保することであるはずだ。今まで道路特定財源が他県に多く配分されてきた経緯を主張して配分の修正を求める時代が到来したのだ。奈良県では国の道路事業費の投入が少ない時代でも、県の道路事業は他県よりも多い一般財源を投入してきたのであるから、道路のビッグ・プロジェクトが一段落した今こそ道路特定財源の暫定税率そのものを見直したうえで、特定財源の配分の見直しを求めるべきであろう。

 何故、暫定税率の見直しにこだわるのかと言えば、道路特定財源として本則税率の上に暫定税率を上乗せしたのは1974年のことで、以後、道路5か年計画が膨張するに対応して上乗せ税率を引き上げてきた。現在の税率になったのは1993年の税制改正によるもので、これは日米貿易摩擦解消のため10年間で480兆円という膨大な公共投資を上乗せすることにともなう財源措置としてそうしたものだ。今後の道路中期計画は公共投資の上乗せの時代とは事情が大きく異なり、ピーク時の事業費の3分の1になっているのであるから、事業費に合わせて暫定税率を見直すのは当然。それがこれまで暫定税率を引き上げてきた理屈から導かれる結論だ。


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