後期高齢者医療制度の真実
第82号 (H20/4/9)

 2008年4月1日から後期高齢者医療制度がスタートしてしまいました。政府はこの制度は高齢者をみんなで支え合う医療制度として自画自賛しています。しかし、どう見てもそのような姿には見えません。

 後期高齢者医療制度の根拠になっている「高齢者の医療の確保に関する法律」は200 6年6月に小泉内閣の構造改革路線の総仕上げの一環として与党単独による強行採決で成立しました。その背景には 2つの狙いがあります。1つには増大し続ける医療費総額を医療費適正化計画により抑制すること、2つには公的財政支援を地方財政に肩代わりさせることです。

 医療費適正計画は、2015年までに2.8兆円、さらに2025年までに6.5兆円、合わせて9.3兆円を削る計画です。この計画によれば医療費の増大の7割は高齢者の医療費の増大によるとしたうえで、この点に着目して

@ 生活習慣病対策の推進

A 医療機能の分化・連携の推進、平均在院日数の短縮

B 地域における生活機能

の観点を重視して、都道府県ごとに取組目標を設定して医療費を削減するというものです。

 後期高齢者医療制度の説明で政府は高齢者を支え合うための美しさを強調していますが、狙いは高齢者の医療費削減に絞っていることは、政府が2005年に公表した医療費適正化計画で明らかにしています。

 後期高齢者医療制度には多くの問題点がありますが、人格を傷つける差別化が前面に出ていることです。その1は、後期高齢者という75歳以上の高齢者のほか65歳以上の障害者に対象者を限定していることです。後期高齢者呼ばわりされるのに耐え難い人がいるのではないでしょうか。その2は、医療機関の窓口で支払う自己負担について、常に所得に対応して「現役並み所得者」、「一般」、「低所得者U」、「低所得者T」という分類を明らかにしなければならないことです。そのうえ入院になれば、「低所得者U」や「低所得者T」の人は市町村で証明して貰わなければいけません。さらに、保険料を滞納すると、保険証を返還させられ資格証明書の交付を受けますが、医療費は全額自己負担となります。

 後期高齢者医療制度は医療費適正化計画の推進のため導入されたのですが、三位一体の地方財政改革をきっかけにして、財政負担を地方財政に転嫁するため、適正化計画の責任を都道府県に押し付けるシステムになっています。医療費削減が計画通り進むように、国は都道府県や市町村にアメとムチで操ろうとするのが目に見えるようです。それでいいのでしょうか。地方6団体に奮起して貰いたいものです。


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