国会の意向に従うのは内閣の責務
第83号 (H20/6/13)

 6月11日、参議院は福田首相の問責決議を可決した。後期高齢者医療制度の廃止や道路特定財源の暫定税率の廃止を参議院が決めたのに政府与党がこれに応じないのであるから、参議院における問責決議は当然のことであろう。

 もちろん与党は問責決議は法的効果はないと主張し問責決議に対抗して、6月12日、衆議院で内閣信任決議を可決した。しかし衆議院で内閣信任決議をしたからといっても参議院での問責決議の事実が消えるわけではない。したがって6月12日以降の国会は野党が福田首相に対して審議を行うなはないであろうから、会期を延長しても閉会状態になる。

 このような事態にいたったのは、参議院で与野党逆転している事態を政府与党が無視し続けてきたことに原因がある。これを現在のアメリカの大統領と連邦議会との関係を比較してみれば、よく分かる。

 大統領の支持基盤である政党と議会の多数を占める政党とが異なる事態はしばしば起きる。例えばクリントン政権は1998年の地球温暖化に関する京都議定書に署名したが、その承認を連邦議会に求めることはなかった。議会の強い抵抗があったからだ。大統領が巨大な権限をもっているアメリカでさえも大統領は議会の意向に従って権限を行使せざるを得ないのが実態だ。

 日本も国会は国権の最高機関であると憲法で規定しているのであるから、参議院の決めたことを無視し続けるわけにはいかない。それなのに、衆議院で3分の2の特別決議で次から次へと参議院の議決を否定してきた現在の政府与党の姿勢は憲法が想定しているものではない。

 1947年の憲法制定議会で奈良県選出の北浦圭太郎代議士は、日本国憲法は議会の多数党から首相を選出する議院内閣制を採用するので、内閣の暴走を議会が止めることができないのではないかということを吉田茂首相に迫った。これに対して、吉田首相はそんな事態になるようなことはないと断言した。このような質疑が交わされた原点に戻れば、参議院の意向を無視する現内閣の姿勢は異常であり、憲法体制を否定するものであろう。

  政府与党は、衆議院における3分の2の特別議決を武器にして与野党逆転の参議院を無視し続けているが見当違いというべきもので、参議院の意向を汲み取ることが先決だ。それができなければ、衆議院を解散して国民の判断を求めるのが憲政の常道。参議院には解散がないのであるから、衆議院の解散によって国民の意思を問うしかないのである。

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