大量生産・大量消費社会が変わる
1997年以来の落ち込んだ日本の経済を回復してきたのはアメリカの消費力だといわれています。アメリカは財政の赤字と貿易収支の赤字にもかかわらず、基準通貨ドルの力を背景に世界から呼び込んだ資金で消費者ローンを拡大して消費社会を維持し、そのお陰で日本の企業は売上を伸ばしてきました。しかし、昨年表面化したサブプライムローンはアメリカはもとより世界の経済を打ち砕きました。この結果、アメリカは、大量生産・大量消費社会のシステムを変えざるを得ないでしょう。
予算にはマイナス成長の覚悟が必要
したがって、アメリカをはじめ海外に大きく依存してきた日本は、ゼロ成長どころではなくマイナス成長を続けることを覚悟しなければなりません。そのような観点でみると麻生内閣の打ち出した補正予算と新年度予算は、これまで景気が落ち込むたびに大型予算により景気をよくしようとしてきた高度成長時代の経済対策の方式を繰り返そうとするものであって、マイナス成長の時代には通用するはずがありません。
マイナス成長を覚悟するということは、第1に、財政的には国債の発行を抑えるということです。それには政策目標が明確でなく、どのような効果を狙っているのか不明な定額給付金のような事業を認める余地はないということです。
第2に、大量生産・大量消費社会の従来のシステムが通用しなくなるのですから、経済対策として道路や新幹線建設などの公共事業を主体とする方式を変えざるを得ません。それには現在の日本が必要としている医療・介護の分野を重視して医療・介護産業を日本経済の原動力とするとともに、農業や自然エネルギーの開発を国家政策の基本とすべきです。
新年度予算は日本を破滅させる
新年度の予算は、財政健全の観点からも大問題です。予算規模は88.5兆円で前年をいっきょに5.5兆円も上回り、その財源は税収46.1兆円、国債33.3兆円、その他収入9.1兆円という危ないものです。何が危ないのかというと、第1に、税収は予算の半分を超える形を取っているものの現在の経済状況では過大見積もりであり、そのうえ、その他収入9.1兆円には特別会計に返さなければならないものが含まれているからです。
第2に、2011年には基礎的財政収支(国債収入以外の歳入−国債費以外の歳出)を黒字にするという政府の公約は絶望的であり、新年度の基礎的財政収支の赤字は13.1兆円に拡大しています。政府は財政再建の目標として基礎的財政収支の均衡を掲げていますが、これは財政再建の目標としては甘いのです。少なくとも国債の利払いは税収を充てなければならないのであり、元利償還とも国債収入を充てていくと国債残高は雪だるま式に大きくなります。このように基礎的財政収支さえも均衡できない財政運営は政府の大失態であり、日本を破滅させることになる新年度の予算は、危険な予算なのです。 |