「雇用調整助成金等」は、仕事が減っても従業員を解雇せずに雇用を維持する企業を支援するためのものです。したがって、人員整理の動きを予測して予算を用意しておく必要があり、「雇用調整助成金等」の‘09年度当初予算が前年度当初予算に比べて58倍になっているのは、思い切った予算措置のようにみえますが、それでは十分とはいえません。雇用情勢は前年度と比較できないほどに違っているからです。
「雇用調整助成金等」の対象者はすでに88万人を超えているようであり、さらに3月の年度末を控えて企業の業績の悪化が懸念されますので、対象者は100万人を超えることを想定する必要があります。そうなれば、1.5兆円ないし2兆円の予算を確保しなければなりませんから、当初予算額580億円では桁違いに少ないのです。
政府がもっとも重視しなければならないのは失業者をこれ以上出さないということです。そのための予算が年度の始まる前から桁違いに少ないのですから、「切れ目のない予算」どころか、予算年度が始まるまでに「切れてしまっている予算」なのです。このような「切れてしまっている予算」を繰り返している間に手遅れになりかねません。
なぜ、こうなるのかというと、羅針盤がないからです。これまでの経済恐慌は雇用が最大の問題であったことを学ぼうとする姿勢がないうえに、政府に信頼できる経済モデルがないからでしょう。内閣府の経済モデルによれば、財政出動すれば3年後から国民総生産が落ち込むという結果を示します。したがって、財政出動しようとすれば羅針盤とのズレが出るので、自信をもって経済対策を打ち出せないのではないでしょうか。 |