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通算40号
平成24年1月19日

八百万(やおよろず)の神の死の掟

 

左の写真は、室生に鎮座している龍穴神社の鳥居と杉の巨木に囲まれた拝殿。ご祭神の 高靇神(靇の字は雨冠に龍 たかおかみのかみ)は、伊耶那岐大神(いざなぎのおおかみ)の御子迦具土神(かぐつちのかみ)を斬り給へる時生れませる神にして水火を司るの威徳を具へ給ひ晴雨を調節して国土民生を安んじ給ふと由緒記にあります。

 

 1月17日、辰年であり、阪神淡路大震災の17年目にあたりますので、室生の龍穴神社を参拝してきました。神社名のとおりの龍穴も上の写真の裏手奥にあり拝所があります。

 古事記によれば、伊耶那岐大神と伊耶那美大神が日本の国をお生みになり、多くの神々をお生みになりました。その28番目の御子が火の迦具土神です。火の神ですから生まれるときに伊耶那美大神の御陰(みほと)を焼いてしまい、それがもとで伊耶那美大神は亡くなります。

 伊耶那岐大神は、伊耶那美大神を出雲と伯耆の境にある比婆の山(日本書紀では熊野の有馬村と記述)に葬り、ここで長剣を抜いて御子の迦具土神の首を斬ります。剣を握っている手から血が滴り落ちます。その血から生まれたのが高靇神(日本書紀の記述で、古事記は闇淤加美神くらおかみのかみと記述)です。

 伊耶那岐大神は、国づくりのなかばで伊耶那美大神を失ったことを嘆き、その代償に迦具土神の首を斬り、その血から16神を生み出しました。生れ出たばかりの御子にも代償を求める。ただし、命を奪うことに目的があるのではなく、伊耶那岐大神に与えられた大命を果たすために、命を償いとして新しい命を生み出すという物語です。凍りつくように冷静で、強く、たくましい力を感じ取ることができます。

 国づくりのためには、八百万の神を生み出さなければならない。一人ひとりの神が大切であって、一人を失う損失の大きさはその一人分に留まらない。そう考えれば、命を償いとして多くの新しい命を生み出していくという発想の大切さが理解できます。

 八百万の神々には死の掟がある。今の世は、その厳しい掟の上に築かれていることを古事記は伝えているのではないでしょうか。



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