滝 実が日頃考えていること、
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通算7号
平成15年4月3日

桜前線が日本列島を駆け足で北上しています。お元気でいらっしゃいますか。

 今回のテーマ 天然痘テロへの備えはできているか

 ニューヨークの貿易センタービルへのテロ事件にひきつづいて炭疽菌によるテロがアメリカをおそいました。その後日本でもこれを真似た事件が起りましたがさいわいいたずらとわかりました。アメリカの炭疽菌事件もその後は再発していません。

 しかし、現在のアメリカなどによるイラク攻撃の中で、炭疽菌や天然痘ウイルスによるテロの脅威はむしろ高まっているといわざるをえません。

 このうち人類を長い間苦しめた天然痘は、昭和52年10月にアフリカのソマリアで患者が発生したのを最後に地上から消えたといわれています。これにともなって日本でも、小学校を卒業するまで3回行っていた種痘を、昭和51年1月以降とりやめています。この結果、現在の日本人のうち3回全部受けているのは38歳以上の世代で、これに対して26歳以下は1回も受けていない世代となっています。過去のデータによれば、ウイルスに触れた場合、全く種痘を受けていない人の発症率は96%にのぼります。

 また種痘をうけていても、それから10年以内の場合の発症率は4%ですが、その後年齢を重ねるにつれて免疫効果が薄くなり、発症率は次第に高まると言われており、油断はできません。

 厚生労働省は、現在、テロの危険に備えて、天然痘の生ワクチンの備蓄を急いでいますが、日本人全体に行き渡る量のワクチンを用意するためには、いましばらく時間がかかりそうです。

 また、テロの危険が高まったり、外国で患者が発生した場合に、実際に種痘を行うといっても、今の医学部の学生はワクチンの接種を経験していないどころか自分でも受けたことがなく、混乱も予想されます。厚生労働省では種痘の方法のビデオを作って都道府県に連絡し、奈良県医師会でも若い会員に種痘の講習会を開くと聞いています。

 とりわけ心配なのは、生物兵器として開発された天然痘ウイルスは、遺伝子組み替えなどによって、より悪性となり、ワクチンが効きにくくなっているおそれもあるということです。またおそらくテロではないと思いますが、現在香港や中国南部で急増している悪性肺炎のような新しいウイルス性の疾患も出ており、心配なところです。

 アメリカのミステリー作家であるパトリシア・コーンウエルの作品「接触」が日本では平成8年に講談社文庫から相原真理子さんの訳で出されています。これには天然痘ウイルスの遺伝子組み替えによるテロとこれを防護する人たちとの戦いが真に迫って描かれています。生物兵器によるテロが次第に現実味を帯びている以上、私たちも、こういう世界もあることを知っておかなければと思います。

4月3日 滝 実


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