今回のテーマ ― 「カンター元通商代表が感激 ― 日本の年金改革」
6月8日にカンター元アメリカ通商代表の話を聞く機会がありました。アメリカ大統領選に関するもので、今年のカンヌ映画祭で最高賞をとったマイケル・ムーア監督の「華氏911」にも話が及び、ニューヨーク・テロ前後のブッシュ大統領の行動を冷やかに扱ったこの映画がケリー候補に有利にならないという話もありました。ブッシュやその前のクリントンであれば年金改革は避けて通るはずなのに、選挙を前にして断行した小泉首相の姿勢に感激していました。
ところで、今回の年金改革はそれなりに抜本改革です。その理由は2つ。 第1は、加入者の減少と平均余命の伸びを年金に反映させる仕組みを導入したこと。 第2は、年金の積立金230兆円を100年で取り崩すこと。これらは今まで手が付けられなかったのです。
第1の加入者の減少と平均余命の伸びを年金に反映させると将来の年金受取額が保障されなくなるとの批判はもっともなことです。戦後のベビーブームの時代に生れた人たちが年金受給者になるのに他方で加入者が減り平均余命が伸びる時代になれば、年金の額を抑えなければならないからです。これまでは批判を恐れて、こういうことに踏み切れなかったのですが、そうせざるをえないのです。しかし、名目上の額まで切り込むというものではありませんし、平均賃金が上昇すれば、それなりに年金額も増えるのです。
第2の積立金を取り崩していくのは、これも初めてのことですが、この積立金は、これから年金の受給者になっていくベビーブーマーである加入者の掛け金から積み立てたものですからここで取り崩すべきタイミングでしょう。なぜなら、これから30年間程度が高齢社会のピークといわれる時代であって、これが過ぎれば高齢社会も終わります。ベビーブーマーも年金の受給者から消えていく時がくるからです。
年金一元化でないから抜本改革ではないの意見があります。自民党はこれまでパートの従業員を厚生年金の加入者とするよう提案してきました。これに反対したのが大手スーパーなどの経済界と野党の皆さんです。年金一元化の具体的な一歩に反対しておきながら年金一元化の主張をされているのが実情です。年金一元化とはどういうことかということを思い浮かべて主張してもらいたいものです。
今回、スウェーデンと同様の年金改正案を国会に出された政党もありました。所得の低い人たちに最低保障年金を設け、この全額を国庫負担とし、所得の高くなるにつれ国庫負担のない所得比例年金とするというものです。しかし、スウェーデンでは所得比例年金の個人負担率は7%、事業主負担は12%であって、日本では、事業主負担率の高さに対応できないと思います。また、スウェーデン方式を採用して年金は一元化すべきとの考えがありますが、スウェーデンは昔から年金は一元化されていますし、自営業者の所得も徹底的に把握されていますが、日本ではそのところを第一歩から始めなければならないのであって、一元化への道のりは簡単ではないことを覚悟しなければならないと思います。
|