今回のテーマ ― 「バトル・ロワイアル」と佐世保事件
「バトル・ロワイアル」は41人の中学校のクラスで殺し合いをしながら2人が生き残るという青春小説で、5年前に出版され、これがビートたけし主演で映画化されるに及んで、大きな批判が起こり、子供には見せないこととされたのです。
ところが今回、佐世保で起きた殺人事件では加害者である児童はこのビデオを見ており、これを手本として物語まで作っていました。加害者の精神鑑定が行われることになるのでしょうが、次から次へと展開される殺人シーンに目を向けていると、正常な感覚でいられないこともあるのかもしれません。あのビデオは子供に貸すことは禁止していますといってもその禁止が実際には何の役にも立っていませんでした。
それはそうとして、今回の報道の姿勢にはがっかりしました。殺人の前後のシーンが手にとって分るように報道されてしまったことです。いくら報道はそういうものだといっても残酷なシーンが浮かびあがるような表現で行われるのは異常ではないでしょうか。「バトル・ロワイアル」の映画で批判が起きたことを報道関係者は知っているはずです。にもかかわらず自己抑制ができない報道はそのものが異常の世界にあることになります。
佐世保は110年前に佐世保教育会が設立され、現在も教育委員会・学校・家族が教育に取り組んでいるという教育に熱心な地域といわれています。市長さんも市制100年を契機に教育に専念すると宣言されているそうです。そんな街で起きた今回の悲劇は何ともやりきれません。
6月10日に開かれた自民党の文部科学部会で文部科学省の局長さんが教育が不十分であったといわれたものですから、私は不十分であったなどと軽々しくいうべきではないと指摘しました。これまでの教育を掘りさげて事情を明らかにするとともに、教育以外の事情にも立ち入ることが必要であることを申しました。
そうしたうえで、学校教育における責任、家庭における責任、報道も含め社会全体としての責任を明らかにして対処すべきだと思います。小学校高学年からの思春期の子供たちは親や学校の先生の手のおえない状況にあるのが実態だからです。
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