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通算15号
平成16年12月29日

 今回のテーマ ―  「沖縄の大学院大学に思う」

あけましておめでとうございます。今年の干支は「とり」ですが、それにふさわしい「飛翔」すなわち、羽ばたき、飛び上がる年であってほしいものです。

そのための国家プロジェクトの1つが本格的に始まろうとしています。沖縄に世界 最高水準の科学技術大学院大学の設立を準備しておりまして、平成17年度予算 でいよいよ建設に着手することになりました。

この沖縄科学技術大学院大学の構想は平成13年に提案され、平成15年と16年には大学院大学の開学に向けて人材のネットワークをあらかじめ形成しようと世界の専門家と大学院生を集めて集中講座を開設してきました。もちろん奈良の先端科学技術大学院大学からも参加しております。

[大学院大学の構想]
(研究・教育分野) 生理学、物理学、化学、計算科学、工学などが交錯する分野

(規模) 教授、博士号取得の若手研究者、学生など3000人

(学内での使用言語) 英語

(学長候補) シドニー・ブレナー博士(平成12年のノーベル生理学・医学賞受賞)


(建設予定地) 恩納村(オンナソン)のうちの289ha(予定地は沖縄で開かれた先進国首脳会議の会議場に近接)

[12月26日に現地を視察]
12月26日に恩納村の現地を見てまいりました。海岸を含む広大な面積です。東京大学の本体敷地が50haですから、その6倍の規模です。

すでに先行的研究事業が予定地の近くにある沖縄科学技術振興・交流センターとその隣にある沖縄健康バイオテクノロジー研究開発センターで行われています。

私はそのうち、脳の基本機能である「記憶」の分子機構の研究(遠藤研究チーム) と酵母菌の増殖分裂と増殖停止の研究(柳田研究チーム)の話を聞いてきました。

[これからの奈良先端科学技術大学院大学のために]
沖縄の大学院大学に対応して奈良の大学院大学も研究交流を通じて大きなメリットを受けることになるはずです。しかしそのために奈良の大学院大学の環境を整作しておく必要があると思います。地元の支援体制が弱いのではないかというのが沖縄を見ての感想です。

[アメリカのロックフェラー研究所に学ぶ]
先端科学技術で想い出されるのがアメリカのロックフェラー研究所です。今年千円札に野口英世が登場しました。これは象徴的なことです。というのは、ロックフェラー 研究所に助手として採用されたのは丁度100年前の1904年のことです。7年後に英世は梅毒スピロヘータをつきとめ、さらに2年後に麻痺狂といわれるものが梅毒によるものであることを発見し、その後の治療薬の開発につながりました。アメリカ医学研究はドイツに後れていましたが、英世により世界の先端にあることが認められたといわれています。

さらに、当時の日本も立派です。英世は母親の願いを入れて、1915年に一時帰国しました。その際、帝国学士院は英世に恩賜賞を贈り、功績を讃えました。英世はその賞金の中から恩師である血脇先生に出してもらった学資を返すことができたのです。

日本の科学技術の進歩も、世界中から人材を集めることに専念する必要があります。

わが奈良先端科学技術大学院大学も、「飛翔」の年にふさわしく羽ばたくことを期して応援したいと思います。



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