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通算18号
平成18年6月6日

北浦圭太郎先生を顕彰する

 滝まことは衆議院本会議で憲法改正手続きを定める国民投票法案について質問した。その際に日本国憲法が憲法改正に国会で3分の2以上の議決に加え国民投票を要件としている背景には昭和13年の国家総動員法の成立を契機に翼賛議会が続いた歴史への反省があると指摘した。これは奈良県選出衆議院議員の北浦圭太郎先生を念頭においたものだ。

 北浦先生は、日本国憲法案を審議する昭和21年6月26日の衆議院本会議ですばらしい発言をされた。議事録から以下に引用する。

 

 戦時中に於て国家総動員法と言う実に奇怪千万な法律がありました、是は今も其の一部分は施行されて居りますが、この関係法規を集めて見ましただけでも、恐らくは

 十万以上の箇条に達すると私は思って居ります、この数の多い法規に依りまして、盛んに戦時中国民を捕縛して監獄に抛り込んで、所謂陥穿を設けてそれにどしどし国民を陥れ、さうして軍閥官僚共は戦に勝つことを信じて居ったのであります …….

 法律、規則を蜘蛛の巣の如くに張り巡らしておいて、国民に生活の糧を与へず、さうして歴代の司法大臣は声高く社会の害悪は厳重に処罰するぞと仰しゃる、是では新日本の再建も前途遠しと言わなければならぬ ………..

 新憲法を実際に運用するのには可なりな困難が伴ひます、例へば内閣が議会に責任を帯びるのだと書いてございまするが、責任を帯びる其の内閣は其の時の議会の大多数であるに相違ありませぬ、色々な不都合が起るに相違ありませぬから、政府はこの際 …… 民より成る実地運用研究調査の為に若干の調査委員を英米に派遣するの意思はないか …….. 国家の将来の為に切望する次第でありまする …

 

 議院内閣制の下にあっては内閣の暴走を議会が止めることができない恐れがあると指摘しているのは、流石である。英米では内閣や大統領と議会の間に権力を相互にけん制するシステムがあるはずだからそれを調査し日本も採り入れるべきだという。その恐れが現実になったのが昨年の郵政民営化法案を巡る問題だ。

先生が日本国憲法案の審議で内閣と議会の間の相互けん制システムの必要を強調されたのは、昭和13年に軍閥の要求による国家総動員法が成立し、議会も完全に軍閥を翼賛する機関になったときを経験したからであろう。それは昭和15年2月の衆議院で斉藤隆夫議員が近衛内閣の中国国民政府を相手にせずとの声明の変更を求める演説に軍部が反発し議会が斉藤議員を除名した3月7日である。このとき大半の議員が除名に賛成したなかで反対したのは7名に過ぎず北浦先生はそのなかの1人であった。先生の生年は明治20年、昭和29年逝去。奈良県、大阪府の小学校訓導の後、検事に転身さらに衆議院議員に。戦後は第1次吉田内閣の司法政務次官を勤め、吉田茂首相の日本自由党の重鎮であった。