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通算30号
平成19年9月21日

 郵政民営化がいよいよ平成19年10月1日からスタートし、2年前に民営化法案に反対したときに恐れていたことが現実の問題に踏み出すことになった。

 恐れの第1は「はげたかファンド」その他の企業に買収されることだ。「ゆうちょ銀行」が保有する貯金は200兆円、「かんぽ生命」が保有する積立金は100兆円。いずれも金融機関として世界有数の規模である。ところが「ゆうちょ銀行」が予定している発行株式は2.5兆円。ということは、この銀行の発行株式の全てを買収しても保有する貯金200兆円を運用すれば、1.2%の運用収益相当分で元が取れる計算が成り立つ。「かんぽ生命」も同様だ。

 金融機関の恐ろしさはここにある。そこで銀行は発行株式の金額を高くして買収を防止しているのだ。3年前の計数であるが、米国のシティバンクは48兆円の預金で発行株式は28兆円、モルガン銀行は60兆円の預金で発行株式は15兆円だ。これでは預金の運用収益を財源とする買収は成立しない。日本でも東京三菱銀行(3年前の計数で比較するためUFJと統合する以前で例示)は60兆円の預金で発行株式は7兆円だ。このような事情にあるのに、「ゆうちょ銀行」は買収されるために株式を発行するようなものであることが明白だ。

 恐れの第2はサービスの低下である。民営化法案について政府はサービスを低下させないことを強調したし、郵便物の配達が速くなるのを期待していた国民が多い。しかし、振替払いや現金の引出など手数料は軒並み引き上げられたし、郵便物の配達が遅くなったうえ到着期日を信頼できなくなった。しかもレタックスはひどい。朝9時に発信すれば午後1時には到着していたレタックスは夕方にしか届かなくなった。ということはレタックスは用をなさなくなったということだ。

 郵便物の到着に時間が掛かるようになったのは、郵便局の窓口会社と郵便事業会社が別会社になったため「ゆうちょ」や「かんぽ」の担当者が担当業務のついでに郵便物を配達することができず手が回らなくなったのと集配局の統合により担当地域が拡大したからだ。

このように郵政民営化は郵便公社を郵便持ち株会社、郵便事業会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の4会社に分割し、統合された事業運営ができないシステムを作り上げ、効率的な事業運営から非効率な事業運営を強制し、究極には郵便事業を廃業に追い込むことを狙っていることがはっきりしたと言っていい。ただし、深刻な事態に国民が気づくのは株式の売り出しが始まる平成22年頃かもしれない。そのとき気づいても手の打ちようはない。



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