イタリアの国民投票
平成18年8月1日
平成18年8月1日

イタリアの国民投票

憲法改正案

イタリアは6月25,26日に憲法改正案について国民投票が行われたが、否決された。

2001年6月に発足した中道・右派のベルルスコーニ連立内閣は憲法改正に力を入れ、2003年10月に改正法案を議会に提出した。主な改正点は次の4点。

? 上下両院とも同じような権限を改め、予算・決算に関する法案は下院に、国と州の基本原則に関する法案は上院に優先審議権を与え、両院とも議員定数を削減

? 首相の権限を強化し、大臣の任命権だけでなく罷免権を付与し、下院の解散権を大統領から首相に移管

? 保健、教育、地方警察の権限を州に移管し、あわせて地方の代表者の上院への議決権のない参加

? 憲法裁判所判事の定数15人のうち議会選出判事を増加し、憲法改正案について議会が3分の2以上の多数で可決されたときも国民投票を請求できる

国民投票に関する事情  

憲法改正が必要なことは与野党に共通していて両院合同の憲法委員会で過去10年間議論してきたという。したがって、中道・右派が連立与党の結束を図るために憲法改正を政治的に利用するようなことがなければ、広範囲な合意が得られたのではないかというのが中道・左派の見方のようだ。

イタリア憲法裁判所長官(右から3人目)等と会談

 与党の結束を図るための政治的利用というのは、ベルルスコーニ内閣を構成する与党の中でも北部同盟が地方分権を党是としていたため、憲法改正について国民投票で賛成が得られなくても内閣として法案を出さざるをえなかったというものだ。実際の国民投票では地方分権がキーポイントになったようで、国民投票の資料には地方分権に関する文言はわずかしかなかったのにイタリア南部では70%が反対であったのは地方分権に過剰反応したのではないかというジャーナリストの立場からの指摘があった。

憲法改正への方向

 国民投票に先立ち2006年4月9,10日に上下両院議員の任期満了に伴う総選挙がありベルルスコーニ内閣を構成する中道・右派が破れ、中道・左派のプローディ内閣が成立していた。プローディ内閣でも憲法改正担当相が憲法改正を目指しており、合意が形成されつつあるとの自信を示した。

 これに対し下院副議長は、憲法改正は議会がリードすべきで政府の問題ではないこと、国民投票に際しては、憲法改正の内容を細かく説明するのではなく公平な情報が国民の目に入ることが重要で、議会の中で広範な合意が得られれば国民は理解しやすいし、今回のような意図的な運動を抑えられると指摘したことが印象に残った。



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