エストニアの国民投票
平成18年8月3日

大相撲の把瑠都の出身国エストニアは 1991 年 8 月にソ連から独立し、 1992 年 6 月に国民投票で新憲法を採択した。ソ連からの独立回復を宣言したのは最高会議であり、新憲法案を起草し国民投票を求めるために憲法会議が設置された。

エストニアの国会で

 憲法会議は「最高会議派」 30 名とソ連併合の 1940 年以前の市民権に基づくエストニア系住民により選出された「エストニア会議派」 30 名から構成された。憲法案の争点は議会の権限と大統領の直接選挙の問題であり、大統領は国会で 3 分の2の多数決で選任される。 3 回の投票でも決着しないときは、国会議員と地方議会の代表からなる選挙会で選出する。このように外国からの干渉を排除するために国会中心主義の憲法体制がとられており、大統領制については外国からの干渉を受けやすく、また 1 人の大統領に権限が集中するのは民主的権力が崩れるとの考えが強いようだ。
 憲法承認の国民投票以後に国民投票はEUへの加盟について行われ、承認している。これによりエストニアは政治、経済、安全保障等さまざまな分野で安定し、加盟国として外交面でも発言力を増すことになったと日本大使館は受け止めている。

エストニアの国会議事堂
(壁に映っているのはロシア正教会の影)

EUに関しエストニアはたのEU諸国と異なる対応をしている。EU憲法条約批准のための憲法改正問題では、国会議員、最高裁判所長官、法務大臣等で構成する国会の憲法作業委員会が憲法改正によらずに条約の批准が可能との見解を示し、 2006 年 5 月に批准した。また、ユーロ導入に関しても、EU委員会は憲法改正が必要ではないかとしてきしていたのにエストニア最高裁判所憲法審査部は憲法改正の必要なしとの見解を示し、中央銀行法が改正されるとのことである。

 エストニアの国民投票については注目すべき仕組みになっている。一般の法律案や国政の重要問題について国民投票を求めることが出来るが、この国民投票で過半数の賛成が得られないときは、大統領は臨時選挙を公示するというものだ。「民主主義の赤字」ともいうべき国会と国民とのずれを修正するための制度として意味をもっていると思う。

 ヨーロッパ諸国が憲法裁判所をもっている中でエストニアは普通裁判所に憲法裁判機能をもたせる唯一の国でもある。ただし、最高裁判所に憲法審査部を設けてはいるが、ここで憲法違反の法律の無効の決定を行うし、ユーロ導入に憲法改正が必要かどうかの見解も示したのである。



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