デンマークの国民投票
平成18年8月3日

デンマークではEU通貨であるユーロの導入を巡り2000年9月28日に国民投票が行われた。デンマークの憲法は国際機関への主権の委譲に関する法案を成立させるには 6 分の5の賛成を要件としている。 6 分の5の賛成が得られないが過半数の賛成があるときに国民投票で過半数の賛成が得られ、かつ反対投票数が全有権者の30%未満であれば法案は成立する。

デンマークの最高裁判事と懇談

ユーロ導入の法案は国会で 6 分の5の賛成は得られなかったものの経済団体や労働組合もユーロ導入を支持し、国会においても反対派は 179 議席中 39 議席に過ぎなかった。したがって事前の評判では賛成派が優位にあったのに否決というミステリーな結果となった。そこでいろいろな分析が行われていて、

・ デンマーク通貨のクローナは長期間、価値の変動がないのに、ユーロはデンマークの経済力だけで価値を維持できなくなり心配だと言う不安が広まったこと

・ 欧州議会のメンバーは反対派が多いのに本国に戻るのが遅くなり国民投票キャンペーンが始まって 1 か月もたってからのキャンペーン参加なので反対の機運が盛り上がるのに時間がかかったこと

・ 政府は投票前日の朝 11 時にプレス発表をしてユーロ導入のキャンペーンをしたのに翌日の記事原稿締め切りまでに時間があったため、新聞は専門家に取材した反対の意見を沢山掲載し、最後の 2 日間で変わったことなどの指摘がある。

人魚の像に触れる

日本で議論されている事項についての主なデンマーク事情

・ マスコミの姿勢であるが、新聞は賛成派であるが、テレビ・ラヂオは賛成・反対の立場をとらず、バランスのとれた報道をする義務がある。したがって、政党は大小にかかわらず平等に意見をいう時間をもつ。

・ デンマークの国民投票は「過半数の賛成」と「全有権者の 30 %未満の反対」が法案成立の要件である。そこで何も記入しない白票をどう数えるかを確認したところ、過半数の基礎になる有効投票には数えず、反対には数えるとのことであった。

・ 国会の議決だけで法案が成立する要件の「 6 分の5」は少数派に配慮した結果の数字であり、理論的なものではない。

 ユーロ導入法案に対す国民投票の否決は、「民主主義の赤字」としてEU諸国で新しい問題を提起した。EUの政策決定はEU加盟国の国民によって選出された欧州議会において行われるが、実質的な権限は閣僚理事会にあり、加盟国の国民は直接関与することができない。このため、今回のように加盟国の内閣とそれを支える国会がEUの方向に向いても国民はそれを支持しないことが起るのだ。  



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