道路特定財源の10年間延長は法治国家の否定
平成20年5月13日

 2008年5月13日、政府与党は衆議院本会議で道路特定財源を10年間延長する道路整備費の財源等に関する特例法改正案の再可決を強行した。

 この法案の内容には3つの問題がある。第1は、特定財源に対する批判をかわすために一般財源化するという閣議決定を同時に行いながら、法案は原案通り特定財源を10年間も法律で保障するものである。つまり内閣の意思が2通りに分かれて出るという異常な事態だ。これまでも道路特定財源の一般財源化を閣議で決めてきた経緯があるが実現は困難であった。今回も野党の要求で一般財源化を打ち出したものの自民党内の意思をまとめ切れなかったことを示すもので、偽装一般財源化と言わざるを得ない。

 第2は、特定財源は道路整備計画を裏づけるものとして今回の特例法改正案でも規定されている。ところが衆議院の予算委員会で民主党は計画が根拠のない数字の積み上げであることを指摘して見直しを迫ったのに対して、国土交通大臣はその指摘を認めたうえ5か年計画を策定するという発言をしている。しかし今回の特定財源延長法案では原案のとおり10か年計画のままであり、どういう内容にするのかは不透明のままである。

 第3は、今回の特例法改正案は道路整備事業の拡大に迫られた時代に作られた法律を引き継ぐものであるが、現在はそのような時代とは様変わりしている。それは、これまでの道路整備5か年計画を見れば一目瞭然。今までは5年ごとに事業費が5割増の時代が続き、5か年間の事業費が78兆円をマークしたこともある。しかし今回政府が示した計画は10か年でも59兆円。これを精査すれば40兆円に収まるとの指摘があり、5か年計画に換算すればピーク時の3分1以下の額になる。もはや特別に財源を確保する時代ではない。したがって特定財源としての扱いを廃止する方向で議論が進められてきたのは正しい。

 以上のような問題を抱えているのに特定財源を10年間保障する法律を確定しながら一般財源化を偽装しようとするのは、政府自身が法治国家を否定するものであり、政権が迷走状態にあることを示している。政府が率先して政治不信を作り出さないことを望みたい。

  なお道路の特定財源が不要な現在は、税制を見直し、ガソリンや軽油に幾重にも重なった課税を見直す機会としなければならない。福田首相は国会で、ガソリンや軽油に対する暫定税率を廃止すれば地球温暖化ガスの排出を助長すると言っているが、原油高で価格が高騰しているのであるから、要らぬ心配というべきだ。それよりも、政府は石油輸出機構に対して原油の増産を働きかけているのではないか。こちらのほうが CO2 排出の罪は重い。


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