5月4日に投票が行われたイギリスの地方選挙で与党の労働党は大敗し、得票率は保守党に大きく差をつけられ、自由民主党にも及ばない3位に転落した。その原因は閣僚の不祥事と労働党への秘密融資にあると伝えられている。このためブレア首相は主要閣僚を入れ替えたが首相の早期退陣を求める声が強まっているとのことである。
大敗の背景は大量破壊兵器に関する誤報に基づいてアメリカのイラク攻撃に同調したことにあるようだ。ヨーロッパ諸国がイラク攻撃に慎重であったのにイギリスの攻撃参加は目立つ存在であった。イギリスがイラク攻撃に参加する理由を懸命に説明している当時のブレア首相の姿が思い出される。しかしブッシュ大統領もイラク攻撃は誤報に基づくことを認めることになり、ブレア首相の不人気のままに迎えた地方選挙での大敗は当然の結果かもしれない。
そのアメリカもブッシュ政権崩壊への流れが止まっていない。主要なスタッフがホワイトハウスから去っていき5月5日には CIA のゴス長官が辞任した。大量破壊兵器の誤報責任をとって辞任したテネット前長官の後を引き継いだゴス長官であったのに、就任して2年もたたずの辞任はブッシュ政権の混乱を印象づけることになった。ブッシュ政権の混乱は他人ごとではない。日本政府はこのような不安定な状況の政権と日本の基地問題に関する協議を行っていることに不安を感じざるをえないからだ。
お隣の韓国も大きな変動を前にしている。5月31日には韓国で地方選挙が行われる。その地方選挙の焦点はソウル市長選挙だ。ノ・ムヒョン大統領の人気が低迷しているなかで来年の大統領選挙の有力対立候補といわれるイ・ミョンパク・ソウル市長は今回の市長選には立候補しない。そこでソウル市長候補として政府与党のウリ党はカン・クムシル氏、ハンナラ党はオ・セフン氏、民主党はパク・ジュソン氏、民主労働党はキム・ジョンチョル氏をソウル市長候補に決定している。
与党ウリ党の人気回復のためにノ・ムヒョン大統領は竹島問題や靖国問題を利用するのではないかとの憶測があるようだが、韓国からのテレビ放映される姿とは違い韓国の人たちの行動は冷静のようだ。冷静なのは何故かといえば韓国は竹島を実効支配しているので騒ぐことはないということにありそうだ。
日本はこうした海外の政治の流れを見据えて外交交渉にあたるのは当然であろう。しかしこの春から5月の連休にかけて話題になった竹島周辺の海底調査をするといいながら取りやめた事例やグアムへの基地移転に3兆円を要求された事例では、政府の対外折衝の様子には焦りが見受けられる。この時期はできるかぎり慎重であるべきだ。 |