9月下旬に予定されている臨時国会では継続審議になっている重要法案が目白押しである。なぜそうなったかといえば、年明け以来の通常国会では不祥事件が噴出し、小泉内閣は冷却期間をおいて国民の目をそらす必要があり国会を延長できなかったからだ。
まず、ライブドアと自民党幹部との深いつながりは偽メール事件により一件落着となっているが、深いつながりが潔白になったのではない。
耐震構造偽装問題は火種を消すために事業者の責任を棚上げして公的助成をはやばやと打ち出したものの、昭和55年の建築基準の改正以前の建築物は軒並み耐震構造偽装問題の建築物同様の耐震力しかないことが明らかになり、これに対して公的助成をしようにも財政的に余裕はない。公平公正の立場からどうするのかという問題を残したままだ。
社会保険庁が国民年金の納付率を上げるために本人の知らぬ間に納付不能処理をしていたのが全国ほとんどの社会保険事務所であるのに、社会保険庁は関与していないとして責任を回避している。これでは出直し的な改革は無理だ。
日銀総裁が村上ファンドの関係ファンドに出資を続けていたことは国家の重大問題であるのに政府は問題ないというだけで逃げ切ろうとした。円の信用に傷をつけたままだ。
防衛庁は調達本部の燃料発注事件で平成10年当時の額賀長官の参議院問責決議事件にまで発展しているのに今回は電気関連工事で官製談合事件が明るみに出た。前回と異なり防衛庁を防衛省にする法案を政府は重要法案と位置づけているだけに、国会審議を継続できなかったのであろう。
このままいけば臨時国会では防衛省にする法案をそのまま採決に持ち込もうとするようだ。しかし、この法案は、なぜ防衛庁ではいけないのか、なぜ防衛省でなければならないのか説明していない。省にする理由として、大規模災害が相次ぎ、北朝鮮のミサイル発射や不審船事件が発生しているとか、テロ問題に直面し諸外国と協力して活動することが重要な国政の課題になったとかをあげている。これは背景を説明してはいるが省にする理由の説明になっていない。
同時に、省になってもシビリアン・コントロール、専守防衛、海外派兵の禁止など防衛政策の基本は変わらないことを強調する。基本が変わらないのであれば、ますます省にする理由を否定するようなものではないか。
シビリアン・コントロールを取り上げてみても現状でいいのか疑問だ。現状は事務官によるコントロールがシビリアン・コントロールと信じているようだからだ。事務官によるのではなく国会によるコントロールを徹底するのが本来だ。米国連邦議会は世界各地の司令官を直接、議会に呼んで事情を聞いているではないか。そうでなければ議会のコントロールのもとにあるといえないからだ。防衛庁を防衛省にしようとするならば事務官によるのではなく、国会のコントロールによる自衛隊にすべきだとの議論が欠けているようだ。 |