EUの債務危機は日本の債務危機
VOL.91 (2012/1/16)
 

 1月13日、米国格付け会社のスタンダード&プアーズがEU9か国の格付けを引き下げたことで波紋が広がり、ギリシアの債務危機をEUが共同して救済しようとする構想が崩壊する瀬戸際にあります。

 

フランスが救済の主役を降りる?

 ギリシアの債務危機打開に主導的役割を果たしてきたのは、ドイツとフランスです。ところが、フランスの格付けがドイツと並んで最上位にあったのに、AAAからAA+に1ランク下がってしまいました。

 これにより、フランスのサルコジ大統領は今年選挙ですので、相手陣営からギリシア救済についてのこれまでの対応を批判する声が強まるのではないかと心配されています。

 ギリシア危機救済の主軸であったドイツとフランスのうちフランスが推進力を失えば、ドイツ単独では推進できず、EUの危機は収拾できません。

 そのうえ、噂されていたイタリア、スペイン、ポルトガルも格付けが2段階も下がりましたので、EU圏内の金融機関がこれら格付けの下がった国債を売却したり、企業への貸出を制限したりして経済が収縮に向かうこと
が懸念されています。

 

欧州金融安定基金が機能しない?

 こうした動きのなかで、ギリシア救済の柱である欧州金融安定基金が機能しなくなり、この安定基金そのものの格付けも下がるのではないかとみられています。そうなると欧州金融安定基金が債券を発行してギリシアを救う構想が潰れてしまいます。

 

欧州の危機は日本の危機

 さらに、EUの危機はその圏内に留まらず、世界経済が収縮していきます。すでに、1月16日にはEU各国の国債を売って日本の国債を買う注文が増大し、それを反映してユーロ売り円買いが止まらない状況となりました。

 この状況ですから日本の国債の利回りは下がり、国債の利子負担は軽くなります。1月16日には、これまで1.1%台であった日本国債の利回りが久しぶりに1%を切りました。それで日本の財政は助かるのではありません。ユーロ安・円高が加速し、日本の株式相場は軒並み値を下げました。まさに、日本経済の危機なのです。

 

欧州の債務危機は日本の債務危機

 EUの債務危機で日本の国債の利回りが下がったからというだけで日本の赤字国債の膨大な累積額は解消されません。
欧州危機の教訓は、ギリシア・イタリアなどの債務危機は、日本も例外ではないということです。


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